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切通理作
2016.6.2 14:49

現実

     「現実逃避」、それが映画作りに現を抜かす私の姿なのでしょうか。
 
  小林さんの言う「現実」(公に向き合うという事)とはズレていますが、その映画作りの中にも、別の意味での「現実」はあります。

  今度の映画は自分がお金出して作っているので、製作としてはお金をケチりたくなるのです。「こんなに食費いるの?」とか「スタジオ借りる時間、もっと短くて済むんじゃ?」とか。

  しかし監督としては気持ちよくみんなに過ごしてほしいし、時間なんか気にしないで撮っていたいのです。必要なものを惜しんで後悔したくもありません。

  昨日初めて、予算管理しているチーフ助監督氏に、自分の貯金の上限を正直に打ち明けました。「この現実をどこか意識しておいてほしい」と。

  そういう事を言う時、「こっからは監督としてではなくて」と前置きをしてから喋ります。

  「現」は抜かせばしっぺ返しが来ます。撮るだけでなく、出来たあと公開する予算を作るため、一冊でも多く本を書かなければ。原稿の依頼をいっぱい受けなければ。
  そのためにはこれまで以上に世の中に興味を持ち、人々の関心に注意を払わなければ。
  
  かえって現実に覚醒し、甘さをカットする人格に生まれ変われるような気がして参りました。

切通理作

昭和39年、東京都生まれ。和光大学卒業。文化批評、エッセイを主に手がける。
『宮崎駿の<世界>』(ちくま新書)で第24回サントリー学芸賞受賞。著書に『サンタ服を着た女の子ーときめきクリスマス論』(白水社)、『失恋論』(角川学芸出版)、『山田洋次の<世界>』(ちくま新著)、『ポップカルチャー 若者の世紀』(廣済堂出版)、『特撮黙示録』(太田出版)、『ある朝、セカイは死んでいた』(文藝春秋)、『地球はウルトラマンの星』(ソニー・マガジンズ)、『お前がセカイを殺したいなら』(フィルムアート社)、『怪獣使いと少年 ウルトラマンの作家たち』(宝島社)、『本多猪四郎 無冠の巨匠』『怪獣少年の〈復讐〉~70年代怪獣ブームの光と影』(洋泉社)など。

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